昨日午後、衝撃のニュースが飛び込んできました。日本の2人の若者が、金目当てでカンボジア人のタクシードライバーを殺害したというのです。

最初は日本のニュースサイトで見たのですが、日本では考えられないスピードで、容疑者の写真や、一部取り調べの様子まで動画で上がっていました。400万円の借金があって、ドルが流通しているカンボジアで、まずは車を奪ってから強盗を続けようと計画していたというのです。写真を見る限り、ホントーにどこにでもいそうな、一目で日本人とわかる顔立ちで、“凶悪犯”といった雰囲気はありませんでした。事件があったのは、ポイペトからシェムリアップに向かう国道6号線上で、私が住むあたりからは30キロほど西にある町のようです。

私は一瞬、日本人が殺されたのかと思ったのですが、その逆で、5,6本の記事を読みましたが、どうしても理解できないところが次々出てくるのです。

借金返済のために強盗を思いつく、というのは珍しい話ではありませんが、なぜよりによって、アジアでも最貧国に近い、ひとりあたりGDPが日本の1/20以下のカンボジアにやってきたのでしょう?そのために車が欲しかったのなら、運転手を殺す必要などないはずで、国境から少し離れれば、人通りはもちろん、車通りすらまばらになる区間がいくらもあるので、そこでナイフをちらつかせれば済んだはずです。奪って300mで事故ってしまうような未熟な運転技術で、強盗行脚を計画していたというのもにわかには信じがたいし、そもそもこれらの取り調べに、きちんとした通訳はいたのでしょうか?

国道6号線というのは、ポイペトを通ってバンコクに向かい、反対方向に進めば、シェムリアップからプノンペンを通って、ホーチミンに向かう一大幹線道路です。バスは通っていますが、基本的には都市から都市へ向かう大型バスで、途中での乗り降りはありません。それで、今回のタクシーのように、相乗りで都市間を結ぶ個人営業の車がたくさん走っているのです。私も使ったことがあります。

殺されたチャンさんは、シェムリアップとプノンペンの中間にあるコンポントムという町の人らしく、プノンペンからポイペトまでのルートで商売をしていたようです。40歳ということは、まだ子供も小さく、家族のために寝る間も惜しんで一生懸命働いていたのだと思います。残された家族がいまどんな思いでいるのか、想像するだけで胸が痛みます。

それもあって、熱帯夜のゆうべはほとんど眠れなかったのですが、気を使ってくれてセイハーがやってきました。それで、彼の話を聞いていて、いろいろ納得することも多かったのですが、あの超スピードの現場映像は、みなPoliceが撮って、自分のFacebookにアップしているのだそうです。何でもかんでも実況中継するのが流行りだそうですが、法とか規則とか人権というのは、まだまだ遠い国のようです。

セイハーも、彼らが殺人を犯すような人間にはどうしても見えないと首をひねっていたのですが、もしかしたら、ドラッグをやっていたのではないかというのです。ポイペトというのは、タイとの国境の町で、そこからバンコクまでは230キロ。陸路でタイに向かうバックパッカーなどはみなここを通過するわけですが、「何かとごたごたがあるところだから、女一人で越えてはいけないよ」とよく言われたものでした。「ポイペトでは、コカインを買うのはコカ・コーラを買うのと同じくらい簡単なこと」とセイハーもいいます。

今回のふたりの日本人も、ポイペトで1泊しているようですし、好奇心に勝てなかったというのも想像に難くありません。

いえいえ、まだまだ何もわかっていない段階で、こんな個人的な想像をたくましくするのは慎まなければなりません。はっきりしているのは、チャンさんという40歳のカンボジア人が、一昨夜無残に殺害されたということと、家族たちは、突然一家の大黒柱を失ったということだけです。今は、心よりチャンさんのご冥福をお祈りします。

新しい情報が入ったら、また何か書くこととします。