馬というのは、なんとなく寒い地方の動物だという固定観念があったのですが、シェムリアップに牧場があるという情報を得て、さっそく行ってきました。

なんと、我が家からバイクで15分ほど、シェムリアップ市内です。こんなに近くにあったとは意外でしたが、ほんとうに小さな目につきにくい看板で、とても商売でホースライディングツアーをやっているとは思えません。

近所にいた人に聞いて、それらしき門を入っていくと、そこは小さな森になっていました。街中の暑さと喧噪がウソのように涼やかで静かな空気で、そうか、森の中ならば馬だって快適なはずだと納得しました。

しかしどこまで行っても人っこ一人馬っこ一匹いないので、セイハーに電話をかけてもらうと、30分ほどで行くからという返事だったので、待つことにしました。

写真右手のレンガ色の屋根が厩舎と事務所で、ひっそりと静まり返っていましたが、のぞいてみると、いるいるいる、お馬さんがなんと、20頭ほどもいたのです。 床には籾殻が敷き詰めてあって、糞のそうじも行き届き、きちんと清潔に飼育されているなと思いました。

この広い敷地の雰囲気と瀟洒な建物を見て、セイハーは、ここのオーナーはカンボジア人ではなく、欧米系の人だろうというのです。カンボジア人ならこんな商売は始めないと。で、その彼の推測は半分はあたっていたのです。

オーナーのPannさんという人は、1975年、プノンペンがクメール・ルージュの手におちた年にカリフォルニアに亡命。30年間をかの地で過ごしている間に馬が好きになり、定年後にシェムリアップに戻って牧場を開いたというのです。馬具などは、すべてアメリカとオーストラリア、ドイツから来ているそうで、ホースライディングビジネスは、あくまでも馬の飼育代をねん出するためのもののようです。

75年にアメリカに亡命できたということは、おそらく(家族が)ロン・ノル政権の中枢にいた人だったと思います。しばらく前にはドリアンの畑で、ロン・ノル軍の兵士だった地雷を踏んだおじさんに会いましたが、この国には、あの内戦の影を引きずった人たちが、今も普通に街の中に生きているのだとしみじみ考えさせられました。

ちなみに、ホースライディングは、ひとり1時間38ドル、2時間60ドル。馬に乗ってシェムリアップと近郊の田園地帯を散策します。初めての人でも大丈夫だそうですが、90キロという体重制限がありますよ!