プノンペンからメコンを越えた東側のカンダール州の村に3日間ほど滞在しました。セイハーの故郷の村のパゴダで、チィヒクロバイというバッファローレースがあると聞いたからです。憧れのバッファローが間近に堪能できるとあっては、はるばるシェムリアップからとて出かけないわけには行きません。プチュンバンの中日、28日の朝6時頃から始まるということで、セイハーの家を5時半に出発しました。

どういう段取りになっているのか、実はセイハーもよくわかっておらず、どうやらレースといっても1着2着を争うものではないようです。写真中央の門の少し向こう側がゴールで、その向こう側数百メートルをこちらに向かって駆けてくるのですが、いわばハレの日のお披露目ライディングのようです。門の向こう側に陣取っていれば、バッファローがドッドッドッ!と駆けぬける勇猛な姿を見ることができたのですが、どうやら写真を撮るにはここが一番良さそうなので、今回は動きませんでした。いったん外に出てしまったら、もう2度とは戻れない人込みだったからです。

バッファローは日ごろは田んぼや川の中にいることが多いので、正直いって泥に汚れて艶もへったくれもない、哀れな姿をしていることが多いのですが、ここで見るバッファローは大違いでした。この日のために手間暇かけて丁寧にブラッシングされ、スパンコール付きの豪華なマスクを被り、角も色とりどりの布できりっと巻き上げられて、ほんとうに堂々と美しい姿をしていました。

これらの写真はすべてレース前のお披露目です。みんな、我が愛水牛というんでしょうか、ほとんど顔見知りばかりですから、それぞれ誇らしげに自慢し合っているのがわかります。

で、予期していなかったホースライディングもあったのです。いまだにカンボジアと馬、というのがしっくりと来ない私はアッ!と驚いたのですが、きれいな馬がたくさんいました。それも、みんな鞍のない裸馬で、乗っている男たちがとてもカッコよかったのです。

プチュンバンというのは、日本のお盆と同じような伝統行事で、一年に一度ご先祖様が帰ってくる時です。カンボジアではこの期間に7つのパゴダにお詣りするとご利益があるそうですが、日ごろ信心深いセイハーですら、行ったのは自分の村のパゴダだけだったとか。プチュンバン休暇は、いまや信仰というよりは、むしろ一家揃ってのレジャー、娯楽のためにあるようです。夜、セイハーの村では境内でディスコ大会が開かれ、PAの番をしていたのは、なんと、オレンジの袈裟を身にまとった若いお坊さん達でした。