プノンペンの1等地に建造中の Gold Tower 42 、外壁は灼熱の陽光を浴びてゴールドに燦然と輝き、「金塔大厦まもなくオープン」と中国語で書かれた巨大な横幕がべったり貼り付いていました。

いつの間に?と思ったものです。この建物は以前から‶幽霊ビル″ともいわれて、4,5階部分まで建造された後、無残な形で何年か放置されていたはずです。私も見た記憶があります。

5000米ドルの手付金ですぐに契約できます。

セイハーがいうには、このビルはもともとはフランス資本で、遅々として建造が進まなかったけれど、中国資本に買収されてから、一気に天を突く高層ビルに姿を変えようとしている、のだそうです。

そして彼が苦々しく付け加えていうには、この巨大な建築現場で産み出される雇用、これすらもほぼすべて中国人の手に落ちるというのです。最も単純な土方労働だけはカンボジア人が担い、わずかでも技術を必要とする労働に関しては、中国本土からやって来ている中国人が担っているというのです。土方労働に関しては、日当10ドルならいい方だそうで、7,8ドルではないかといっていました。

交差点をはさんだお向かいにある SUZUKI のショールーム。10年ほど、いえ数年前までならば、ここも一般庶民には‶高根の花‶として、煌びやかに輝いていたことでしょう。しかしこの先は金塔大厦の西側で身いっぱいの朝日を浴びることもなく、ひっそりとその役目を終えたかのような‶余生″を送ることになるのではないかと、複雑な思いで私はプノンペンを後にしました。